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<< 50歳の速球投手 >>


2015/10/7(Wed)

 お世辞にも格好のいい投球フォームとは言えない。大きな体躯をぎこちなくくねらせながら、それでも長い左腕は最後に打者の方へ絶妙にしなる。しかし球速は135キロ。剛球投手ならタイミングをはずすチェンジアップ程度の遅球だ。
 それでもなぜか打者は振り遅れる。誰もが「速い」と感じる。そこには物理的な速度を超えた「技術」があった。
 昭和の終わりから実働四半世紀。積み重ねた勝ち星は219。打たれても年齢のせいにはせず、まだまだ下手くそだからと自省した。
 山本昌、50歳。最後のマウンドに立つ。
小谷隆


<< 体感温度を信じて >>


2015/10/8(Thu)

 この季節ほど世の人の服装がばらつく時候はない。朝夕の冷え込みに薄手のコートを羽織ってくる人もいれば、なお夏以来の半袖でいる人もちらほら。長袖に代えてさてジャケットを羽織るかどうかというあたりが目下の中間層である。
 最低気温が20度を割り込み、日中もせいぜい20度台前半。10月の初めから半ばにかけては、ちょうど服装を変えるかどうかのボーダーになる。
 ここでやせ我慢をしたり、衣替えを面倒臭がっていたりすると風邪をひく。周囲に関係なく、自らの体感温度を信じて服装を選ぶようにしたい。
小谷隆


<< 超一流の育成術 >>


2015/10/10(Sat)

 ソフトバンクホークスの監督に就任して1年目で大差のリーグ優勝を飾った工藤公康監督は現役時代、捕手の城島を育てるために、打たれるとわかっていてもサインに首を振らなかったという。大捕手城島はそんな「上司」に育てられた。
 部下の意見を聞かないのは二流の上司。部下の意見を聞いて、失敗を未然に防ぐ助言ができれば一人前の上司である。
 しかし上には上がある。部下の意見を聞いて、失敗するとわかっていても敢えてやらせ、その失敗の責任をとって部下の成長の糧にできるなら、それは超一流の上司だと思う。
小谷隆


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