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<< 可能性という幸福 >>


2015/5/1(Fri)

 人は満たされると幸福なのだろうか。
 かつて願ったものの中には、叶ったものもあれば叶わなかったものもある。描いた未来像とは程遠くても、小さな願望の類はほぼ満たしたと思う。
 しかしそれは一定の幸福感を与えてくれる一方で、新たな欲望を呼び起こしている。上には上がある。今なお望みは多い。
 ふと、満たされなかった頃を懐かしむことがある。何もなかったけれど、可能性に満ちた未来があった。
 所願満足すればまた、今が懐かしくなるのだろう。そういう意味では、夢が夢であることも立派な幸福なのかもしれない。
小谷隆


<< 屋根の猫 >>


2015/5/2(Sat)

 経営は屋根の上の猫だとある人から聞いたことがある。
 その人が会社を興したばかりの頃、アパートの二階から隣の屋根で寝そべる猫が見えた。猫は安全な屋根の真ん中ではなく、わざわざ滑り落ちそうな端に陣取って、そこから下に尾を垂らしていた。
 なるほど経営とはこういうものか、とそのとき彼は悟った。安全な場所ではなく、ギリギリの場所にいるからこそ危ない所がすぐにわかるのだと。
 なるほど彼は成功し、巨大な企業の経営者になった。しかし大きな猫の重みに、屋根の端がミシミシと崩れ始めている。
小谷隆


<< 知識より検索力 >>


2015/5/3(Sun)

 情報量が少なかった時代は、情報を握っているだけで一定の価値があった。知っているということはアドバンテージだったのである。
 しかし、誰もがあらゆる種類の情報に瞬時にアクセスできる今、知っているということの優位性はほとんどない。知らない人はほんの数秒で情報にアクセスして知っている人に追いつくことができる。
 こんな世の中で個人差がつくとしたら検索力だけかもしれない。闇雲に知識を詰め込むよりも、いかに必要な情報に速く辿り着くか。
 もっとも、それには知識のベースが欠かせないのだけれど。
小谷隆


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